コンテナコラム

COLUMN

知っていますか? 違法となるコンテナハウス

コンテナハウスを検討する上で押さえておきたい基礎知識。安全に正しく利用するために是非ご一読ください。

輸送用コンテナと建築用コンテナの違い

「コンテナハウス」と聞くと、錆びた中古コンテナを再利用して使うことをイメージしている方が多いかもしれません。そして、使われなくなったものを再利用するのだから低コストで建てられると思うかもしれません。しかし、輸送用として造られたコンテナはもともと物を効率的に運ぶために造られたものであり、建築用コンテナとはそもそも目的が違います。そのため、土地に定着して風雨や外敵から人の身を守ることを目的とされた建築用コンテナとは似て非なるものなのです。


輸送用コンテナ→物を効率的に運ぶために造られたもの
建築用コンテナ→コンテナのメリットを活用した建築物であり、その中にいる人の安全性を確保するために造られたもの

建築物の定義に当てはまる輸送用コンテナは違法です

建築物とは簡単に言うと「土地に定着し、屋根や柱、壁を有するもの」です(建築基準法第2条より)。屋根や壁を有するコンテナは、「土地に定着」という部分が該当すれば立派な建築物となります。しかし、輸送用コンテナは造られる目的の違いから、構造的な基準が満たされていない(JIS規格の鋼材、溶接であることを証明することが困難である)ため、建築物として利用することは「違法」となります。もちろん建築物を建てるための手続きである確認申請や行政検査を通すことができません。

国交相からの通知

それでも中古コンテナを使って建てたいという方がいらっしゃるかもしれません。また、移動ができるんだから建築物には該当しないと言い張る方がいるかもしれません。そういった方が後を絶たないせいか、国交相から複数回に渡り違法コンテナに対する通知が出ております。

http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/jutakukentiku_house_tk_000058.html
平成元年の通達
コンテナハウスをカラオケルームとして利用している建築物に対する通告
平成16年「コンテナを利用した建築物の取扱いについて(技術的助言)」
中古コンテナを倉庫として利用している建物に対する技術的助言
平成26年「コンテナを利用した建築物に係る違反対策の徹底について」

国交相からの度重なる通達にも関わらず、依然として中古コンテナを利用した建築物が後を絶たないことを示しています。これらの通知を見てわかる通り、国は中古コンテナを明確に「違反」と言い切っております。

違法コンテナハウスは何が問題か

構造的問題


輸送用コンテナは建築物としての強度の担保が出来ておりません。どのような鋼材を使って、どのように溶接したのか、辿ることは非常に困難であり、辿ったとしても建築物としての強度が確保されているとは限りません。さらに、輸送用コンテナは開口を開けることを想定していません。コンテナハウスを建築物として利用する場合は壁の一部(またはそのほとんど)を開口部として切断することになりますが、構造強度が確保されていないコンテナの強度をさらに弱めることになるため、安全性を確保することは困難です。

用途の問題


都市計画の中で「用途地域」というものが定められております。例えば、閑静な住宅地に騒音の出る工場やパチンコ店が建ったりしないようにするためであり、その土地に建ててはいけない用途の建築物を建てた場合は違法となります。どんな用途の建物を建てるか、それがその土地に建てることができるかをしっかり確認することが必要です。

その他


違法と知りながら中古コンテナでお店を造る場合は大々的な告知ができませんし、後に是正指導が入って営業停止になった場合はお店(会社)としての信用度も失ってしまいます。

私たちは安全で安心なコンテナハウスを広めたい

例え自分の土地に自分の責任で中古コンテナを使っていると言い張ったとしても、安全性の低い建物を使うことは違法なのです。なぜなら近くの歩行者に危害を加えてしまうかもしれませんし、街の景観を阻害しているかもしれません。これらのことから、私たちは建築用コンテナの正しい知識を広め、安全で安心なコンテナハウスを広めていきたいと思います。
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